小論文の書き方・レポートの書き方ChatGPTを使ったパラグラフの添削

ChatGPTを使ったパラグラフの添削

昨今ChatGPTなどの生成AIの利用が進んでいますが、パラグラフの添削をChatGPTなどにやらせることも可能です。当方では、日本人の間違いの特徴を捉える専用のGPTの開発も企画していますが、誰もが利用できる無料バージョンのChatGPTでも、そこそこのパラグラフ添削は可能です。

これは、ChatGPTがアメリカで開発されたものであることに関連していると思います。欧米では基本的に文章はパラグラフ・ライティングに基づいて書くこととされています。ChatGPTなどの生成AIは、文章の分析や、文章の出力を行いますから、当然こうしたパラグラフ・ライティングの基本能力は、プログラミングされているものと考えられるからです。

ChatGPTによるパラグラフ添削の実例

ChatGPTでどれくらいパラグラフ・ライティングでのアドバイスが使えるか試してみました。時間をおいて試したら、回答が変わっていました。従って、皆さんが実際に試すときにはまた異なった回答が出てくる可能性があります。

ポイントとしては、特にどのような点についてパラグラフを添削してほしいかを明確にすることのようです。単に「パラグラフライティングの観点からチェックしてください」だと、かなりあいまいな回答が返ってきてしまうようです。

以下は2023年12月25日時点での結果です。実例として使ったのは、このサイトにも掲載している悪いパラグラフの例です。

ここからが問い。ChatGPTへの問いは「プロンプト」と呼ばれます。

「以下の文章を見て、パラグラフ・ライティングの観点から問題点を指摘してください。特にトピックセンテンスに着目して問題点を指摘して下さい。」

「バオバブはアフリカ大陸には1種類だけが分布しているが、マダガスカルにはさらに7種、そしてオーストラリアには2種が分布している。バオバブの不思議な形はあちらこちらで神話や伝説を生み、サン=テグジュペリの有名な小説、『星の王子様』にも登場する。そしてバオバブは樹皮がロープに、葉は野菜として、そして実は飲料に用いられている。」

そして以下がChatGPTからの回答です。


ChatGPTによるパラグラフ添削結果

この文章のトピックセンテンス(主題文)にもいくつかの改善点があります。

  1. トピックセンテンスが曖昧: 最初の文「バオバブはアフリカ大陸には1種類だけが分布しているが、マダガスカルにはさらに7種、そしてオーストラリアには2種が分布している。」は情報が含まれていますが、具体的な主題を示していません。例えば、「バオバブの分布について」や「世界の異なる地域でのバオバブの種類」など、より具体的なトピックセンテンスにすることで、読者は期待される情報の流れが明確になります。

  2. 論理的な流れが不足: 文章全体の流れが一貫していません。トピックセンテンスが新しいアイディアを導入する際、それが前の文脈とどのように繋がるかを明示的に示すことが重要です。例えば、「そしてバオバブは樹皮がロープに、葉は野菜として、そして実は飲料に用いられている。」のトピックセンテンスが、前の文脈との関連性をもっと明確に示すと良いでしょう。

修正例:

  • バオバブの分布について述べるトピックセンテンス: 「世界各地で見られるバオバブの異なる種類について考察します。」
  • 利用方法についてのトピックセンテンス: 「また、バオバブは樹皮からロープが作られたり、葉が野菜として消費されるなど、その様々な利用方法にも注目してみましょう。」

これらの修正により、トピックセンテンスがより明確で、読者は文章の進行を追いやすくなります。


いかがでしょうか。パラグラフの最初の行がトピックになっていないこと、その後に続く情報(サポーティングセンテンス)に繋がりがないことを指摘しています。

修正例としては、トピックセンテンスを二つに分けることをChatGPTは提案しています。つまり、トピックごとに二つのパラグラフに分ける提案ですね。私ならば三つのパラグラフに分けることを提案しますが、自動分析の結果としてはまずますだと思います。「トピックを分けるべき」という指摘がきちんとなされていますから。

Bardによるパラグラフ添削の実例

同じ質問をGoogleのBardでもしてみました。以下がBardの回答です。


Bardによるパラグラフ添削結果

問題点は、トピックセンテンスが明確ではないことです。トピックセンテンスは、そのパラグラフの主題を簡潔に述べる文です。この文章のトピックセンテンスは、おそらく「バオバブの分布と利用」であると考えられます。しかし、このトピックセンテンスは、バオバブの分布と利用の両方について述べているので、明確ではありません。

より明確なトピックセンテンスとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 「バオバブの分布」
  • 「バオバブの利用」
  • 「バオバブの特徴と利用」

この場合、それぞれのトピックセンテンスに沿って、文章を構成する必要があります。

たとえば、「バオバブの分布」をトピックセンテンスとしてした場合、文章は以下のようになります。

「バオバブは、アフリカ大陸、マダガスカル、オーストラリアに分布する。アフリカ大陸には1種類だけが分布し、マダガスカルにはさらに7種、オーストラリアには2種が分布する。」

この文章では、トピックセンテンスが明確なので、読者はパラグラフの主題を理解しやすくなります。

また、この文章では、分布に関する情報は、トピックセンテンスの後にまとめて述べています。これにより、文章の構成が明確になり、読みやすくなります。

同様に、「バオバブの利用」をトピックセンテンスとしてした場合、文章は以下のようになります。

「バオバブは、樹皮がロープに、葉は野菜として、そして実は飲料に用いられている。また、不思議な形から神話や伝説を生み、サン=テグジュペリの有名な小説、『星の王子様』にも登場する。」

この文章では、利用に関する情報は、トピックセンテンスの後にまとめて述べています。これにより、文章の構成が明確になり、読みやすくなります。

さらに、「バオバブの特徴と利用」をトピックセンテンスとしてした場合、文章は以下のようになります。

「バオバブは、サバンナ地帯に多く分布する。幹は徳利のような形をしていて、高さは約30メートル、直径は約10メートルに及ぶ。年輪がないので樹齢を知ることは難しいが、数千年に達するといわれる。また、樹皮はロープに、葉は野菜として、そして実は飲料に用いられている。」

この文章では、特徴と利用に関する情報を、トピックセンテンスの後に分けて述べています。これにより、文章の構成が明確になり、読みやすくなります。

このように、トピックセンテンスが明確であれば、パラグラフの構成が明確になり、読みやすくなります。


Bardもトピックセンテンスの内容が不明瞭であることを指摘しています。例文にはトピックセンテンスがないのですから、正しく指摘していますね。

また、最後の方で改善策としてパラグラフの実例を出していますが、原文には無かった「。幹は徳利のような形をしていて、高さは約30メートル、直径は約10メートルに及ぶ。年輪がないので樹齢を知ることは難しいが、数千年に達するといわれる。」という、新たな情報を付け加えています。

ChatGPTもBardもそれぞれの特徴がありますので、両方でパラグラフの添削を実施してみると良いかもしれませんね。